第2期(1999年~2003年)世界の子どもの平和像・京都の建立
21世紀を目前にしたこの時期は、アメリカ原爆発祥の地ロスアラモスで子どもの平和像が造られたことから、日本でも建立が呼びかけられた。直近に像建立に至ったふりそでの少女像をつくる会に長崎に集まった全国の平和ゼミの高校生達に説明した。東京(2000年)、広島(2001年)、京都(2003年)で世界の子どもの平和像が建立された。
2000年2月、綾部の中高生を中心に活動している「ふりそでの少女像をつくる会」は、京都市の高校生を中心に活動する「京都高校生平和ゼミナール」と共に、「世界の子どもの平和像を京都につくる会(せこへい・京都)」を結成。京都の平和像づくりの意義を「外国人と共につくる友好の像。国際平和の像。しかも学習会を在日外国人と積み重ねながらつくる。そのことで外国人も私たちも意識が変わる」とした。学習しつつ平和像を建立するのである。募金を集めて像が建てばいいのではなく、学んだことを像づくりに反映させながらつくることが大切だと考えたのである。
●学習例
・在日外国人と交流する場
・中国人留学生とアフガニスタン攻撃と自衛隊派遣を論議
・国際交流ふれあい農園収穫祭でのカンパよびかけ
・韓国・朝鮮・中国の歌・料理づくり
・日本の和太鼓と韓国サムルノリの共演
・アンネのバラ接ぎ木の会
・被爆者とのクリスマスパーティー交流
・福留志なさん誕生会 誕生会記録はこちら
●平和像のアイデア公募
在日外国人含めた210点の公募作品が集まった。街頭募金や各種集会等に行き資金カンパをお願いした。ある高校生は「学校生活の心の支えの場」と語り、平和像建立は大きな自信となっていた。学習活動の彼らの原動力になったのは地域の人々との出会いと仲間への信頼だった。
●平和像のデザイン
京都の平和像のデザインは地球の上に折り亀と折り鶴を置き、その周りで子どもが自由に遊んでいる。亀は長寿・繁栄の意味の他、韓国では「死者の霊は亀の背中に乗って天にのぼっていく」という故事があることから、アジア・太平洋戦争での死者の慰霊の意味ももたせている。折り鶴は日本・世界の平和の象徴である。その折り亀と折り鶴が手をつなぎ、世界の平和を表している。これは舞鶴浮島丸殉難者の像を見学した時に高校生が供えてある折り亀をみつけ、そこから考え出したものである。2003年5月、立命館大学国際平和ミュージアムで除幕式が行われた。
●日韓高校生歴史交流キャンプ
2003年7月、韓国から約60名の中学生・高校生が京都に来た。かつて朝鮮・韓国人が強制連行され労働を強いられたマンガン鉱山の坑道を歩き、耳塚に行き、戦前治安維持法により虐殺された留学生ユントンジュの詩碑を共に見学した。そして、京都の世界の子どもの平和像を見学したのである。お礼にソッデという鳥をあらわした模型を頂いた。